「自分には無理と決めつけないで」一色湊さんの仕事論(俳優・モデル)

一色湊さん

そう語るのはモデル、俳優、カフェ経営と幅広く活動されている一色湊さん。

「仮面ライダーゼロワン」ではインパクトのある役柄を演じきるなど役者として、経営者としてキャリアを積み重ねる中で実感した地元への感謝の思い、「自分には無理だと決めつけないでほしい」と伝えたいその理由とはー。

目次

スカウトがきっかけで芸能界へ

一色湊さん

―現在のお仕事について教えてください

俳優、モデルをしながら東京・六本木のカフェ・ダイニングバー「ワンダフル・ライフ」の経営をおこなっています。

―沖縄ではどんな幼少期を過ごしていましたか?

小・中・高とサッカー漬けの日々を送っていました。中学3年までは坊主頭。宮古島のおおらかな島の空気もあってやんちゃで思いのままに生きていたと思います。

サッカーで全国制覇をしたいという目標と小・中・高の教員免許を取得するという目標から、大学は岡山のIPU環太平洋大学に進学しました。

結果として全国制覇はできなかったものの、部員200名に囲まれての共同生活と毎年全国大会に出場できたことはとても良い経験になりました。

―大学では今のお仕事につながる経験をされたとか?

そうですね。大阪に行った時に街で芸能事務所の方にスカウトされて。芸能の仕事にも興味があり、何事も挑戦したい性格なので所属することになりました。

初めてオーディションを受けてCM撮影に臨んだのですが全然うまくできなくて。もっと出来るという悔しさと同時に何かを表現するという芸能の仕事の奥深さを知ることができました。

正直サッカーでは自分の限界を感じていましたし、このままプロになっても上にはいけないだろうと思い始めていた頃でした。

就職活動もおこなって岡山県警やIT、アパレルから内定を頂いていたのですが、その中でも難しく学びの大きい芸能の道を選びました。

当然家族にも反対されましたが、幼少期から目をかけてくれた祖母が背中を押してくれて「人生は一度きり。今しかできない事をやろう」と芸能の道で生きていく事を決めました。

情報番組のリポーターに

一色湊さん

―卒業後に大きく人生が動いたそうですね。

芸能事務所が大阪だったのですが、ちょうど東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決まった時期で経済や街が大きく変わる東京を体験してみたいという気持ちで東京に拠点を構えました。

しばらくして大阪で情報番組のリポーターと深夜のバラエティー番組のサブMCの仕事が決まってその都度、東京から新幹線や夜行バスで通っていました。

情報番組なので街頭ロケも多く、食レポは色んな番組を見て日々勉強です。

特にナレーションはなかなか宮古島の訛りが抜けなくて大苦戦しましたが、毎日色んな場所や人達に出会える楽しさがありましたね。

またオーディションを受けて映画「デスノート」にも端役として出演させて頂きました。台詞もわずかでしたが大人数が関わる大作に関われたことが嬉しく、もっと頑張って良い役を掴んでやろうと思いました。

「仮面ライダー」で敵役を演じきる

―その後はフリーの道を選ばれます。

2年ぐらいしてからでしょうか。東京での仕事が増えて大阪の仕事との調整に支障が出始めたので思い切って事務所を退所してフリーとして活動することにしました。

フリーになると仕事が減るという印象を持たれがちですが、モデルの仕事が増えていたので直接クライアントと対話が出来るメリットの方が大きかったです。そこから次の仕事に繋がる人間関係も築けますしね。

広告、化粧品、アパレルと業種の幅が広がっていき、付き合いのあった別の事務所から声をかけていただき業務提携という形でお仕事を頂く機会も増えました。

反響が大きかったのは2020年1月に放送された「仮面ライダーゼロワン」での新屋敷達己ですね。

主人公が開発するAI搭載のアンドロイド(ヒューマギア)に勝負を仕掛けるライバル側の人間として登場した自意識過剰、嫌味たっぷりの不動産屋で、とにかく徹底的に嫌われることを意識して演じ切りました。

敵役というか嫌われるキャラを演じるのは初めてだったので、監督と相談しながら試行錯誤を繰り返しでしたが、もうとことんやってやろうと途中から吹っ切れました。

自分としては演技力を出せた実感はなかったのですが、放送後にSNSで反響が大きかったのは嬉しかったですね。これからも普段の自分とは違う役にも積極的に挑戦していきたいです。

経営者としての経験を積みたい

―もうひとつのキャリア、飲食店経営を志したのはなぜでしょう?

それもフリーになった理由の1つでした。自分には将来、宮古島でビジネスをおこなうという大きな目標があります。

その為には人を雇用する経験が必要です。そこで得意とする接客と料理を生かせる飲食業で実績を積んでいこうと2020年7月に六本木にカフェ・ダイニングバー「ワンダフル・ライフ」をオープンしました。

自分が実際に舌で納得した食材を使った自慢の手作り料理と落ち着ける空間がコンセプトで、俳優や女優の仲間がスタッフとして手伝ってくれています。自分も接客は好きですし可能であれば極力お店に立つようにしています。

場所柄、経営者の方も多く、自分が知らない世界や考え方を知ったり学べたりするのがこの仕事の醍醐味ですね。芸能とはまた違った学びです。

大切にしているのはどちらも中途半端にならないこと。スタッフと料理開発も行い、フードやスイーツのメニュー作りも行なっています。

何事も本気で取り組まないと本気の結果は残せませんから。

宮古島の子供達に希望を

―今後の目標を教えてください。

俳優、モデルとして映画やTV、CMに活躍の場を広げていきたいです。まだまだ頑張らないといけませんが、活動名の一色は「ひとつの色」。どんな色にでも染まることが出来るという意味が込められています。

自分の可能性を信じて精進していって、いつか「アナザースカイ」や「情熱大陸」に取り上げてもらえるまでに登り詰めて、その時は俳優・モデル・経営者といった形で出演できるように常に本気でぶつかっていくつもりです。

昨年にはオリオンビールの新製品のCM撮影を沖縄でおこないました。ちょうど店の開店準備と重なってかなりの強行スケジュールでしたがCMを見た祖母が喜んでくれたのが嬉しかったです。

また僕のスケジュールに合わせてくれたクライアントさんに感謝の気持ちで一杯です。

また地元の宮古島で平和演劇「大切なもの~ワンヌイミ~」の舞台公演があった時に子供達をゲネプロ(通しのリハーサル)に招待したことがあります。

完成した本番しか観る機会がない中、完成する前の作っていく過程を観て刺激を受けて欲しいという気持ちから企画をしました。

お芝居だけでなく、殺陣のワークショップを行った時の子供達の輝いた瞳が忘れられないですね。今後も宮古島の子供達に夢や希望を与えられる機会を作っていけたらと思っています。

―最後に読者にメッセージをお願いします。

僕も最初は“島だから”という環境を理由にして挑戦する前から諦めていた事もありました。誰しも未知の世界に挑戦して失敗するのは怖いですよね。

でもそれってチャレンジしないと怖いという感覚は分かりませんし、壁にぶつかることもできません。

それに例え失敗してもそこから学べることも沢山あって、その失敗から次のチャンスが生まれることだって山ほどあります。

僕も沢山失敗をしてきました。2年前ぐらい前に身の回りに色々あって自暴自棄になったことがありました。

その時に宮古島に帰ったら色んな人が自分の事を応援してくれていたんだという事に気付かされたんです。

地元の人の声援、家族の愛情、支えてくれる方々のおかげで決して自分ひとりだけじゃないのだと、あの澄み切った海を眺めているうちに、ちっぽけな悩みも消えていきました。そこで奮起したからあの仮面ライダーにつながったんです。

だから皆さんには自分には無理だと限界を決めないで欲しい。少しの勇気と決断があれば何事にも挑戦できます。

特に若いうちは尚更挑戦して欲しい。失敗があるから成長もできますしその失敗から学ぶことの方が大きいです。

でもあまり構えずに「成功したらラッキー!」ぐらいの気持ちで挑戦した方が自然と怖さは無くなっていくと思います。皆さんには一度きりの人生を思い切り生きて欲しいと思います。

一色湊さん


一色湊(いっしき・みなと)

1993年宮古島市生まれ。 県立宮古高校から岡山のIPU環太平洋大学に進学。サッカー部では4年連続全国大会出場。 小学校、中学・高等学校(保健体育)教員免許取得。 大学4年時に芸能活動を開始。卒業後に関西の情報番組リポーターやバラエティー番組のサブMCとして活躍後、フリーに。俳優・モデルとしても活動の場を広げ、2020年「仮面ライダーゼロワン」での新屋敷達己役として注目を集めた。2020年7月に六本木にカフェ・ダイニングバー「ワンダフル・ライフ」をオープンし、オーナーを務める。

【Instagram】@minatoissiki

【twitter】@nkdkty0720

平良英之

一色さん、お話ありがとうございました!

一色さんにお仕事のご相談・ご提案がある方は「しまんちゅの翼」まで気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

東京沖縄県人会広報理事。「東京都沖縄区」代表。AFP、二級ファイナンシャルプランニング技能士、住宅ローンアドバイザー、証券外務員2種。1983年生まれ。宮古島市出身。

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